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高齢者の睡眠薬を減らすには

更新日:2023年3月27日

今回は、高齢者の睡眠薬を減らすためには、まず情報提供を行い、薬の意義や副作用について知ることが大切という話をしたいと思います。海外の研究も引用して解説します。


どんな薬にも副作用はありますが、不安を取ったり睡眠を助けるベンゾジアゼピン系の薬(抗不安薬、睡眠薬とも言います)には、依存性や記憶力低下などの副作用が知られています。


高齢者の場合は更に副作用が出やすくなります。お年寄りがベンゾジアゼピンを使うと、転んだり、骨折したり、物忘れが酷くなったり、交通事故を起こしたりなどのリスクが高まります。


そもそも高齢になると、物忘れは増えますし、転びやすくなったり、交通事故を起こしやすくなったりするわけですが、それが更に酷くなるということです。


また、せん妄といって、急に判断力が低下したり、幻覚が見えたりする症状のリスクも高くなります。


こうしたリスクから、高齢者はできるだけベンゾジアゼピンを使わない方が良いと言われていますし、もし使うとしても出来るだけ少ない用量で使うことが推奨されています。


しかし、このことを知らない人は多く、多くの人が副作用が出ていてもよく分からずに薬を使い続けています。


または、薬について医師と話し合わずに、なんとなく使っている人も多いと思います。


今回は、高齢者のベンゾジアゼピンや睡眠薬を減らす研究について、ご紹介します。


この研究は、教育プログラムの一種ですが、方法は簡単で、患者さんにベンゾジアゼピンや睡眠薬について説明する手紙を配るだけです。


まず、75歳以上でベンゾジアゼピンまたは睡眠薬を使っている人たちに、薬の説明が書かれたお手紙を送ります。


また、担当の医療者にもアンケートを送り、この手紙の後に、医療者と患者の間で、薬についてどのような会話をしたのか、薬を減らすプランを考えたかなどが調べられました。


59人の患者さんに手紙が送られ、44人の医療者にアンケートが送られました。返事をくれた医療者は27人だったそうです。


そのお返事によると、22%の患者さんが、薬について書かれた手紙をもらった後に薬を減らすか中止するかしていたようです。また、67%の患者さんが医療者と薬について話し合ったと言います。


そして、56%の患者さんは、医療者と一緒に薬を減らす計画を作ったとのことです。


少なくとも、薬について知ることで、ベンゾジアゼピンや睡眠薬を減らす方針に動いた方は多いということだと思います。手紙をもらうだけでこうも行動が変わるのですから、知ることの大切さがうかがえます。


高齢になっても睡眠薬や抗不安薬を使い続けている方は、まずはその意義や副作用について知ることから始めると良さそうです。


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