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適応障害

斎藤知之
適応障害

適応障害の症状や経過、治療について説明します。


 

目次

 

適応障害とは


適応障害とは明確なストレスが原因と考えられる精神疾患です。明確なストレスが起きてから3ヶ月以内に以下の症状が出ます。


  • 不眠(例:寝つけない、夜中や早朝に起きる)

  • 不安・自律神経症状(例:職場のことを考えると怖くなり、動悸、吐き気、息苦しさが出る)

  • うつ症状(例:気分が落ち込む、気力がわかない)


また、ストレスの原因から離れると症状が改善するのも特徴です。このようにストレスと症状が時間的に関連している場合に適応障害と診断します。


例えば、仕事関連ですと、職場で望まない異動・転勤があった、昇進して責任が増した、パワハラを受けた、同僚から嫌がらせを受けた等のストレスが引き金となり適応障害になる場合が多いです。家庭では、離婚、育児、介護などのストレスが典型例です。


なお、初めは適応障害だったとしても、他の精神疾患の診断基準を満たすほど、症状が強い場合は診断名が変わります。例えば、初めは適応障害と診断されたとしても、その後にパニック発作(急に動悸や呼吸困難感などの自律神経症状が出るもの)が繰り返される場合は、パニック障害に診断名が変わります。


適応障害の治療


心理社会的介入


適応障害は、ストレスから離れると改善するものですから、ストレスの少ない生活や環境を整えることが治療になります。薬を使わず、休養や気分転換などで心を整えたり、環境を調整して治療することを心理社会的介入と言います。


例えば、職場のストレスが原因の場合は、ストレスが少ない職場に異動したり、在宅勤務に変更したり、労働時間に制限を設ける等、職場環境を整えると症状が治る可能性があります。職場環境の変更について、職場に相談できる場所(人事部など)があれば、まずはそこで相談してみましょう。


休職や自宅療養も治療の選択肢です。この場合は、休職できる期間や傷病手当などの福利厚生を職場に確認することをお勧めします。また、休職する場合は、職場から診断書の提出を求められますので、通院先の医師に診断書を依頼してください。


残念ながら、現実的に環境を変えることが困難な人も多いでしょう。その場合は、ストレスとの付き合い方を変えるのも選択肢です。普段の生活で、リラックスする時間を大切にしたり、少しだけウォーキングするなどのエクササイズを取り入れたりするのは有効です。


また、ストレスの捉え方を変えて、悪く捉えすぎないようにします。そして、ストレスに慣れていったり、ストレスを受け流せるように練習していきます。これは認知行動療法と呼ばれます。


薬物療法

適応障害の治療は、心理社会的な対応が中心ですが、残念ながらこれだけでは不十分なこともあります。この場合は、薬を使って治療することがあります。


適応障害の治療は、症状に応じて行います。例えば、眠れない時に睡眠薬を使ったり、不安や緊張が強まった時に抗不安薬を使うことがあります。症状が長引いたり、うつ病や不安障害などに移行した場合は、抗うつ薬で治療します。

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